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早稲田大との共同研究報告

  このたび,早稲田大学と亀田総合病院,当院とで実施した共同研究の報告が国際学術誌Topics in Stroke Rehabilitationに掲載されました.研究内容は,没入型バーチャルリアリティ(VR)という最新技術を用いて,脳卒中後の左半側空間無視(左USN)という症状の即時的な改善効果を示したものでした.左USNとは,脳卒中の右半球症状損傷者の多くにみられる症状で,患者から見て左空間に注意を向け,視覚的に認識することが困難になるというものです(視野の問題とは別).また,左空間でも,近い空間と遠い空間でそれぞれ無視が出現することがあります.これまで様々な治療法が研究開発されてきましたが,特に近い空間と遠い空間の同時的な治療方法として確立されたものはまだありません.これまでの我々の研究から,左空間に視覚的注意を向けやすくする工夫として,徐々に右から左に向かって見える空間を消していくこと(ブラックアウト)の有効性をすでに明らかにしています.今回,我々のグループはVR技術を応用し,仮想空間上で右空間を徐々にブラックアウトさせ,左空間の遠い無視と近い無視を同時的に治療できる空間をつくり,10名のUSN患者様にご協力いただき,左無視が改善するか調査しました.その結果,遠い空間の無視について,統計的に有意な改善が得られました.近い空間においては,有意な改善は得られませんでしたが,その問題点も見当がついており,今後改良し,さらに精度の高い治療システムの確立を目指していきたいと考えております.

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