消化器センター 外科・消化器外科 副部長 佐々木 一憲
胆石とか胆嚢ポリープという病名はよく聞く病名だと思います。10人に1人は胆石を持っていると言われており、現在も増加傾向にあります。胆嚢は体の右側にあり、周囲には肝臓、膵臓、十二指腸、胃があります。形は洋梨のような形をしています。胆嚢の働きとしては肝臓で作られた胆汁を濃縮し、食後に胆嚢が収縮する事で胆汁を十二指腸に流して、食事と混ざることで脂肪の分解をします。
【なぜ胆嚢に石ができるのでしょうか?】
胆嚢は流れが淀む場所で、濃縮している際に泥ができる事があります。食後に胆嚢が収縮する事で、泥は十二指腸の方に流れていき、胆嚢内は綺麗に保たれるのですが、胆嚢に炎症があったり、できものがあったりすることで胆嚢の動きが悪くなります。胆石症の症状としては、右の肋骨の下やみぞおちも痛くなる事があります。他には発熱、黄疸、吐き気を認めたりします。しかし6〜8割の人が無症状と言われています。症状がないからといって胆石がないといった事は言い切れないので、一度腹部の超音波検査を受ける事が大切です。超音波検査は痛みもなく、すぐにできる検査です。食事を食べると胆嚢がしぼんでしまうので、食事は取らずに来院することをお奨めします。
【胆石はなんで痛くなるのでしょうか?】
胆嚢にできた泥が石となり徐々に大きく育っていき、育った石が急に胆嚢の出口にはまり込む事で痛みを起こします。石の大きさと胆嚢の出口の大きさがポイントになってきます。一時的な石のはまり込み症状を胆石発作といい、持続的にはまり続けて炎症が悪くなる病態を急性胆嚢炎と言い ます。急性胆嚢炎は放置すると、胆嚢が壊死して命に関わる病気です。そのため適切な対応が必要とされています。
【胆石の治療】
無症状の胆石では通常経過観察をします。症状のある胆石では原則手術を、また無症状でも癌を疑わせる所見がある方は手術をお奨めするので、やはり一度超音波検査は受けられた方が良いです。命に関わる病態である急性胆嚢炎は早期に腹腔鏡下手術(小さな創の手術)をすることが大切と言われており、当院でも積極的に早期手術をしております。右の肋骨の下やみぞおちに痛みがある時には早めに病院を受診することをおすすめします。