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胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術のご案内

コラム

消化器センター 外科・消化器外科 副部長 江間 玲

【胃癌の原因】
ヘリコバクター・ピロリ菌感染による「慢性萎縮性胃炎」が発生に関与している他、遺伝子異常の関連も指摘されています。喫煙、飲酒、食塩などが危険因子とされています。

【胃癌の進行過程】
・早期胃癌:粘膜または粘膜下層に限局しているものを指し、リンパ節転移の有無は問いません。
・進行胃癌:筋層以下に浸潤するものを指します。

胃癌が進行すると、外側の漿膜まで到達し、それを超えると胃の周囲の臓器である大腸や膵臓、肝臓にも浸潤していきます。
やがて、癌細胞はリンパ液や血液の流れに乗って、遠く離れた臓器に転移していったり、お腹の中に癌細胞が散らばり、腹膜播種(ふくまくはしゅ)を起こしたりします。

【胃癌の症状】
早期胃癌では無症状のことがほとんどですが、進行胃癌では上腹部痛、嘔気・嘔吐、腹部膨満、食欲不振、体重減少、しゃっくり(吃逆)、胸やけ、黒色便などの症状を自覚することがあります。

【胃癌発見のための検査】
胃癌は、検診や人間ドックなど上部消化管内視鏡検査を積極的に行うことで早期発見につながります。症状を自覚してから検査を受けた場合、進行胃癌として発見されることもあります。

【胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術のご案内】
内視鏡的治療適応外病変の早期胃癌および遠隔転移や腹膜播種を伴わず安全に切除可能と判断した進行胃癌に対しても積極的に腹腔鏡下胃切除術を行っております。

進行胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術の場合、D2レベルのリンパ節郭清を行い、腫瘍の位置によって、幽門側胃切除術(胃の出口側2/3~4/5を切除)や胃全摘術を行います。

腹部に5か所程度の小さな傷をつけ、炭酸ガスでお腹を膨らまして、カメラモニター画面を見ながら超音波凝固切開装置、電気メス、自動縫合器などを用いて胃を切除、再建を行います。

腹腔鏡下胃切除術は鮮明なモニター映像を見ながら行うため、拡大視効果で開腹手術では見えにくかった血管や神経まで鮮明に認識できるため繊細な手術操作が可能となります。また、腸管などに与える影響が少ないために術後の回復が早く術後早期から食事が摂取できること、入院期間も短く社会復帰も早くできることなどが利点です。
開腹手術に比較すると傷も小さく痛みも少ないため患者さまの満足度も高くなります。

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