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《婦人科》女性の健康維持

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    婦人科《女性の総合診療科》 部長 清河 薫(日本産科婦人科学会専門医)

    女性ホルモンと女性の健康維持

    女性の一生は、女性ホルモンの分泌パターンの違いにより、幼小児期・思春期・性成熟期・更年期・老年期に分類されます。この女性ホルモンは性の成熟のみならず、多様の生理作用を持ち、各年代の女性にとって健康の維持に欠かせないものであります。反面、その程度は軽微なものから深刻なものまで個人差がありますが、女性ホルモンの変調は女性の心身に様々な影響をあたえます。そのため、多くの診療科では症状を懸命に訴えても、ややもすれば原因不明の不定愁訴として扱われがちであります。

    当科は、広く女性の悩みを聞く窓口として、さらには一生を通して女性が心身ともに健康な生活が送れるためのサポーターとして、常に時代の先端をみすえ、女性のニーズに高いレベルで応える女性総合診療科をめざしています。

    各年代の女性たちへのメッセージ

    10代から20代の女性の方へ

    生理不順(卵巣機能不全)について

    卵巣が正常に機能せず、月経のリズムが不規則になることを一般に生理不順または卵巣機能不全と呼びます。
    最近、就職などを契機にストレスによる生理不順のために外来を受診する女性が増えています。また、過度の痩せから無月経などの月経異常をおこすものや、卵巣が特徴的な形態を示す多嚢胞性卵巣症候群(PCO)は逆に体重の増加とともに生理不順になるというものもあります。このように、体重の変化と卵巣機能には密接な関係があり、急激な体重の増減には注意が必要です。また、高プロラクチン血症や甲状腺機能異常などのホルモン疾患が原因のこともあります。生理不順かもしれないと思ったら、まず基礎体温を2ヶ月程度つけてみて下さい。そして受診の際にそれを見せて頂けると大変診療に役立ちます。

    急増する性感染症について

    性行動の若年齢化やパートナーの多様化により、この年代の女性の間でクラミジアや淋病などの性感染症が大変増えています。また、日本では依然としてエイズ感染者が増え続けていることにも注意が必要です。クラミジアの症状は、無症状からおりものや不正出血といった軽度のものが多いため、気づかずに不妊症や子宮外妊娠になってから診断されることも少なくありません。いわゆる男女間のピンポン感染を防ぐためには、性交時のコンドームの使用は有効であり、また受診の際はパートナーといっしょに検査・治療することが重要です。なによりも女性自身が自分を守る意識を持つことが大切です。

    30代から40代の女性の方へ

    増加する子宮筋腫や子宮内膜症について

    この年代で子宮筋腫や子宮内膜症(卵巣チョコレート嚢腫・子宮腺筋症など)と診断される方が最近増えています。皆様の中で下記のような経験をした方はいませんか?

        • 「生理痛がどんどんひどくなってきた。」
        • 「普段飲んでいる痛み止めが効かなくなってきた。」
        • 「月経時の出血量が増えている。塊が出る。」
        • 「身体を動かすと動悸がする。疲れ易くなった。」
        • 「おなかが出てきた。何かしこりのようなものが触れる。」
        • 「下腹部の決まったところがよく痛くなる(違和感がある)。」
        • 「トイレが近くなった。尿がでにくくなった。」
        • 「性交時や排泄時に痛みを覚えることが多くなった。」

    など、
    家事や仕事で忙しく働く年代ですから、受診を躊躇している女性は結構いらっしゃいます。しかし、実際に病気を抱えていては、仕事の効率も悪くなり、かえって周りに心配や迷惑をかけているかもしれません。病状は進行することが多いので、早めにご相談を。

    40代後半から、50代の方へ

    更年期を快適に乗り切るために

    日本人女性の閉経年齢は平均で約50歳です。一般的には閉経期前後の約10年間(45歳から55歳)が更年期と呼ばれています。この時期には、女性ホルモンの分泌環境だけでなく、長年の育児を終えた女性をとりまく社会環境なども変化するため、女性たちはこれらにうまく適応できずに心身ともに変調をきたしやすいといわれています。一口に更年期障害といっても、年齢や症状には個人差が大きく、他の疾患との鑑別が困難なこともしばしばであります。そのため他の診療科に受診しても原因がわからずお悩みの方は多いのではないかと思います。当科では、まず問診を中心に皆さんの悩みを聞くことからはじめます。それらを整理し、問題解決の糸口をいっしょに考えていきます。必要ならば漢方やホルモン療法など、ひとりひとりに合った治療法を探っていきます。

    癌年齢に備えて

    そろそろ癌年齢をむかえ、人間ドックでも様々なオプションがあり、いろいろ迷ってしまいます。子宮や卵巣の悪性腫瘍を早期に発見するためには、内診をはじめ細胞診(子宮頚部と子宮体部は別々の検査となります)や経膣超音波検査を行うことが一般的です。さらに必要に応じCTや MRIなどの画像検査や腫瘍マーカーの測定を行うことが基本になります。当科では最新の診療機器をもちいて短時間で正確な検査結果をお届けするよう心がけております。

    骨粗鬆症が気になる方へ

    閉経を境に女性の骨塩量が急激に低下することが知られています。そのため、この時期の骨塩量の低下を抑制することが骨折予防のポイントといわれています。一度低下した骨塩量を元に戻すことが困難だからです。現在、年配者の寝たきりの原因として骨折が重要であり、普段から適度な運動を行って足腰の筋力や身体のバランス感覚を維持することも大切です。当科では、DEXA法による骨塩量の測定や血液・尿中の各種骨代謝マーカーの測定を行った上で、これらを指標として個々の骨塩量維持をアドバイスいたします。

    高脂血症が気になる方へ

    閉経を境にコレステロール値や中性脂肪が急激に増える方がいらっしゃいます。しかし、家族歴や肥満の有無、糖尿病・高血圧症などの合併症の有無によっても、個々の将来の脳・心血管障害のリスクが異なりますので、治療のメリット・デメリットについてよく検討させていただきます。

    60代を過ぎた方へ

    性器脱について

    この年代に多い問題の一つに、性器脱があります。多くの女性は出産という人生の一大イベントを経験します。分娩回数が多ければ多いほど、リスクが高くなるのが性器脱という病気です。なかには子宮のみならず、その前後にある膀胱や直腸などが膣内に垂れ下る、さらには膣口から外に脱出することがあります(それぞれ子宮脱・膀胱脱・直腸脱と呼びます)。また、お小水が近くなる(頻尿)、くしゃみや重たい荷物を持ったときに尿漏れがする(腹圧性尿失禁)こともあります。早い方では、40代で症状がでることもあります。この年代の方で婦人科にかかるのは恥ずかしいという人がいますが、長い余生を快適に生活するためにも是非一度ご相談ください。薬物療法、装具(ペッサリー)、手術療法のなかから、ご本人に合った方法をご提案します。

    萎縮性膣炎(老人性膣炎)について

    閉経後の女性ホルモンの消退により、膣の壁が薄くなり、ただれのため少量の性器出血を認めたり、お小水の時やお風呂の時に陰部がしみたりすることがあります。また、下腹痛や腰痛の方もいますので、少しでも症状が気になる方は気軽にご相談ください。

    For the women who are not good Japanese speakers

    As the specialists of obstetrics and gynecology, we are happy to give you our medical services in English. No matter what it is a cancer check up or just a little health trouble, please take it easy to contact us in English.

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